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高森明勅
2020.5.18 06:00皇室

足利義満「皇位簒奪」説は無理

金閣寺ゆかりの室町将軍、足利義満が皇位の簒奪を狙っていたという仮説。
それを否定する次のような指摘もある。

「義満の死後、朝廷は義満に太上(だいじょう)法皇の尊号を追贈
しようとしたが、斯波義将(しばよしゆき)の意見で幕府はこれを
辞退している。
…この太上法皇追贈をもって、義満が愛児義嗣(よしつぐ)を皇位につける
遠謀をいだいていたと推定する見解もあるが、この尊号はあくまでも
後小松天皇との関係で贈られたものであることを忘れてはならない。
義満にたいする上皇待遇は後小松天皇を離れては一歩たりとも自立しない
性質のものである。
…そもそも皇統は天皇(の血)から発生するものであって上皇(の号)から
発生するものではない。
…義満自身も上皇に准ぜられたことはあっても、天皇に准ぜられたことは
ただの一度もない」(桜井英治氏)

見落としてはならない重要な事実だろう。

【高森明勅公式サイト】
https://www.a-takamori.com/

高森明勅

昭和32年岡山県生まれ。神道学者、皇室研究者。國學院大學文学部卒。同大学院博士課程単位取得。拓殖大学客員教授、防衛省統合幕僚学校「歴史観・国家観」講座担当、などを歴任。
「皇室典範に関する有識者会議」においてヒアリングに応じる。
現在、日本文化総合研究所代表、神道宗教学会理事、國學院大學講師、靖国神社崇敬奉賛会顧問など。
ミス日本コンテストのファイナリスト達に日本の歴史や文化についてレクチャー。
主な著書。『天皇「生前退位」の真実』(幻冬舎新書)『天皇陛下からわたしたちへのおことば』(双葉社)『謎とき「日本」誕生』(ちくま新書)『はじめて読む「日本の神話」』『天皇と民の大嘗祭』(展転社)など。

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